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2018年10月31日水曜日

日本の戦争責任者を、

絞首刑にする極東軍事裁判の判決の声が、ラジオから聞えていた。それでも、私の胸中にわだかまっているものは消えなかった。私は戦争責任者とはなんだろうか、と考えた。私が見聞きしてきたインパール作戦の無謀を強行した愚将らと、それを”補佐”したという幕僚らは、国民に対して責任をとらなくともよいのだろうか。
ーー高木俊朗『インパール』

2018年10月26日金曜日

一歩進んで、この戦争が

なぜあのような悲惨な敗北におわったかを、物の面よりも精神の面で掘りさげて考えることは、われわれの精神の強化に役立つものと、私は考えている。
『ソロモン海「セ」号作戦』

ニューギニアや太平洋の島々の

最前線の将兵が、玉砕を前にして、弾薬も食糧もないと悲痛な叫びをあげていた心が、はたして中央の人々に通じたのであろうか。また拙劣な作戦を拙劣ともおもわずに、多くの将兵を捨て石のごとく南溟の涯にくちさせたのは、中央と第一線将兵とのあいだに、脈々として心の通うものがなかったせいではなかろうか。
『ソロモン海「セ」号作戦』

「太平洋の戦争を通じて日本に二人の

名将がある。陸の牛島、海の田中」(軍事評論家 ハンソン・ボールドウィン)

駆逐艦一隻喪失という冷たい文字の裏には

二百五十名のそうした人びとの献身があり、無言の死がある。陸に海に空に、ガダルカナルをめぐる戦いはまさにそうしたものであった。
『海戦物語  完勝・ルンガ沖夜戦』

2018年10月14日日曜日

伝統の夜戦に敗れたサボ島沖海戦

全艦、戦闘配置についたまま、戦隊はガ島に向けて二〇ノットで疾走していた。
上空に吊光弾が輝き、味方部隊一面が真昼のように照らし出された。
「なんだ、これは!」
司令官の怒号が終わるか終わらないとき、ピカッと敵発砲の閃光がきらめき、敵弾がたちまち(旗艦「青葉」の)右斜め前の「吹雪」の中腹に命中、火災は轟音とともに暗闇の海を照らした。
「敵艦です!」
「配置につけ!」 
「面舵、左戦闘!」

『海戦物語  伝統の夜戦に敗れたサボ島沖海戦』

2018年10月1日月曜日

森崎中尉以下の六機が、

ラバウル東飛行場に帰着するや、いつもの場所で待ちかねていた宮野大尉が、つかつかと近づいてきて、まるで森崎中尉を拉致していくかのように、戦闘指揮所のほうへ伴っていった。
『六機の護衛戦闘機』

サボ島沖海戦

(旗艦「青葉」では)
「戦闘服装に着替え」
の命令が下されたが、すでに乗員は、全員準備が完了していた。
とくに上甲板に戦闘配置のある高角砲員、機銃員、見張員、測的員、探照灯員は、戦闘服装の上に黒色の雨衣をつけ、ゲートルをはいていた。白いゲートルは、全員が墨汁で黒く染めていた。夜戦のための、手ぎわよい配慮であった。

『海戦物語』