とさわいだ。まえに第四艦隊の航海参謀をしていた土肥一夫参謀は、ソロモン群島方面にくわしいので、ひろげた海図を前にして、
「ここですよ」
といった。しかし土肥はおどろいた。連合艦隊参謀といえば、だれもよく勉強していて、たいていのことは知っているだろうと思っていた。ところが、米濠遮断作戦の要地で、海軍航空基地もまさに完成しようとしているガ島も知らないとは、これはなにも勉強していないのだとわかり、「連合艦隊参謀とはこんなていどだったのか」と思ったからである。
参謀たちは、ミッドウェーの大敗についても、とくに反省している様子はなかった。どの参謀に聞いても、
「あー、あれは運がわるかったんだ」
と、たいしたことではないようにいうだけであった。
『勝つ司令部 負ける司令部』
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