午後六時十三分、全作戦部隊に宛てて、
<天佑ヲ確信シ全軍突撃セヨ>
との激励文を打電した。
掛け声は勇ましいが、「天佑を確信し」という言葉に、日本海軍の末期的状態がよく表れている。もはや、作戦の成否は「天佑」すなわち神頼みだと言っているにひとしい。「武蔵」の生存者救助に当たった駆逐艦「濱風」水雷長・武田光雄大尉は、その電令に接したとき、
「なんだこの命令は」
とがっかりしたと述懐している。武田は開戦以来、いくつもの海戦に参加してきたが、これほど場当たり的で具体性のない命令を受けたのは初めてだった。
『特攻の真意』
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