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2015年7月25日土曜日

戦争を一方の側から見るのではなく、

敵―味方の双方から複眼的に見ることは必要なだが、さらにその対立項からこぼれ落ちる第三項を無視するわけにはゆかない。ビルマにおいても、フィリピンにおいても、日本軍と英国軍、日本軍と米国軍の抗争の戦場には、当然のことながらビルマ人、フィリピン人という"先住民"がいたのだが、「戦闘」の場面ではそれはほとんど無意識的に忘却される。
『戦争文学を読む』

2015年7月5日日曜日

一撃で予想外の戦果をあげ、

ほとんど無傷でひきあげたことは、日本海軍の多くのリーダーたちを、戦果が自分らの才覚と実力によるものと錯覚させて思いあがらせ、無防備の敵にたいする闇討ちのせいであったことを忘れさせた。
『勝つ司令部  負ける司令部』

2015年7月4日土曜日

国家への忠誠心といえば聞こえはよいが、

これは火力にたいする銃剣による白兵主義への賛美に他ならない。砲兵力に対抗する手段を持たないために、工兵隊は肉弾をもってそれに代える。なるほど一瞬の成功を結ぶかも知れないが、兵は無駄死にという外はない。
『特攻とは何か』

「こんなことを言ってはいけないんでしょうが……

大西(瀧治郎)中将は、手の握り方ひとつとっても、心がこもっていて、特攻隊員とともに自分も死ぬのだという気魄が伝わってくるようでした。でも福留(繁)中将は豪傑風な笑みを浮かべながらも搭乗員の目をちゃんと見ない。手の握り方もなんとなくおざなりな感じで……、傍で見て感じたぐらいですから、搭乗員にはもっと敏感に伝わったのではないでしょうか」(門司親徳主計大尉)
『特攻の真意』

「こんなことをせねばならぬというのは、

日本の作戦指導がいかに拙いか、ということを示しているんだよ。――なあ、こりゃあね、統率の外道だよ」(大西瀧治郎中将)
『特攻の真意』

2015年7月1日水曜日

「『全滅を覚悟の最後の決戦』と聞かされ、

そのために大勢の部下を死なせてきたのに、この期におよんで逃げ出すとは、何が『決戦』かと、心底腹が立った」(六五三空飛行長・進藤三郎少佐)
『特攻の真意』

「海軍上層部もきわめて幼稚だったと思うし、

上に言われるがままに、部下に(特攻)出撃を命じた私も、最低の人間だったと、九十歳を過ぎたいまにして思います……」(二〇一空 ダバオ基地司令官・横山岳夫大尉)
『特攻の真意』