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2017年8月1日火曜日

初陣の旗艦「大鳳」轟沈

「翔鶴」が(敵潜カバラの三本の命中魚雷により)沈没して間もない(昭和十九年六月十九日)一四三二、目前の「大鳳」が突如、目のくらむような大爆発を起こした。再び潜水艦の攻撃かと思われたが、その原因は、(敵潜アルバコアからのガソリン・タンク付近への一本の命中魚雷を受けていた為)ガソリンの臭気を抜くため、すべてのベンチレーター(換気栓)を開放したことが、ガソリンと重油の揮発性ガスを艦内に充満させ、艦全体を爆発寸前の巨大なシリンダーと化してしまい、それに排気のための電動送風機の火花が引火したのである。爆撃に耐えうるための厚い飛行甲板が、下からの爆発を押えたため、爆発圧力をさらに強める結果となり、甲板を小山のように盛り上げながら二つに割れ、内部の人員を圧殺して、艦内を阿鼻叫喚の灼熱地獄と化し、隔壁を横に打ち破った火柱が艦側から轟然と沖天に噴き上がった。昼食を終えて艦橋に上がった筆者(羽黒乗艦)の目前に、目のくらむような閃光が走り、大音響が伝わり、艦載機の破片に混って四肢を虚空に大の字に突っ張って吹き上げる乗員のいくつもの姿が、艦橋からまざまざと双眼鏡に映る。
『連合艦隊  サイパン・レイテ海戦記』

空母大鳳

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