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2017年8月11日金曜日

(昭和十九年十月二十三日)〇六三〇前、一斉回頭で取舵をとって

左に変針していたその瞬間、(羽黒の)左舷側約四キロを進んでいた艦隊の中心、第四戦隊の方角に突然、黒煙が上がった。「空襲!」の声が響くが、機影は見えない。怖れていた敵潜水艦の襲撃に違いない。「配置ニ就ケ」(〇六二七)のブザーが唸る。分隊員と一緒に海軍体操をやっていた後甲板から、艦橋に駆け上がって見ると、左方先頭の旗艦「愛宕」は黒煙に包まれ、続く「高雄」は艦尾から煙を吹いて旋回しながら「舵故障」の信号を掲げている。
(……)
〇六四四、「羽黒」の左後方(一四〇度)に魚雷二本が走ってくるのを認めて「面舵一杯」で危うく回避したが、しばらくして後方に閃光が稲妻のようにきらめいた。約一キロ後を続航していた「麻耶」だ。火柱が消えた前部砲塔の上に這い上がった二、三人の姿が見えたが、瞬時に艦首と艦尾を突き立て合わせるようにして轟音とともに海中に没した(〇六四四・三〇秒)。
(……)
〇七〇二、旗艦「愛宕」は檣頭高く掲げた長官旗と共にその姿を没した。
『連合艦隊  サイパン・レイテ海戦記』

パラワン水道での「愛宕」被雷時の隊形

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