西村(祥治)中将は平常とまったく変らない落ち着いた声でいった。これが司令官の声を聞いた最後のものであった。おそらくこの報告はブルネイ湾を出撃するときから、司令官が考えておられた文句であろう。いや、私はそう確信するのである。司令官はレイテ湾を死に処ときめていたにちがいない。
(……)
山城の乗員約千四百名、生き残ったものわずかに十名。また山城と行をともにし、ともにスリガオ海峡で沈んだ扶桑(乗員約千三百五十)の生存者も十名を数えるだけである。(戦艦山城主計長(大尉)江崎寿人氏)
『完本・太平洋戦争』
スリガオ海峡夜戦
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