日本と中国が全面戦争に突入した起点は今から80年前、1937年7月の盧溝橋事件である。中国では45年までの8年を抗日戦の期間とする見方がこれまで定着していた。
ところが習近平政権は31年9月18日に起きた満州事変・柳条湖事件を抗日戦の起点と唱えるようになった。戦いの期間は6年延びて14年となる。(抗日戦争「8年」→「14年」)
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その狙いは、自らが率いる共産党政権の正統性を強めることにあるようだ。
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当時の日中関係を、14年戦争とだけ捉えると全体像を見落としがちだ。その間には関係改善を探り合った時期があり、全面衝突を避ける選択肢はあり得た。また当時の中国は内戦状態で、単純な日中対立の構図ではない。そもそも、共産党の抗日戦への貢献度は大きくない。
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中国で問題なのは、ひとたび政権が見解を出せば、その歴史観に社会全体が縛られる点だ。すでに教科書の改訂が進み、異論を唱えた歴史学者の文章はネットから削除されている。
『2017年10月9日朝日新聞社説』
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