補給を断たれたガ島の陸軍は餓死寸前である。このたびの輸送は日本海軍がソロモン水域に動員し得る最後の輸送船団である。これが失敗に帰したならば、後にはもう一隻の輸送船もない。ガ島の陸軍は見殺しにするしかないのである。角田飛曹長はなんとしてでも一時間頑張ってくれ、一時間経てば交代の直衛機が行くはずだから、それまで頼む。船団は夜明けと共に敵の哨戒機に発見されているはずだから、敵襲は必ずある。ちょうど時間からしてもポートモレスビー、ポートダーウィンからの敵機も到着する頃であるから、警戒は特に厳重にするように」
と、沈痛さを含んだ命令である。後の、訓示、訓示というよりも「頼む」と言われた一言が胸を痛める。
『修羅の翼』
九州丸
鬼怒川丸
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