もし間違っても胴体にもぐり込んでいる整備分隊士には脱出の機会はない。まさかそれを知って自分だけ落下傘降下することはできない。たぶん大丈夫とは思ったが万一の時は、男同士一緒に死んでも悔いはない、と思った。
しかし、試飛行には念を入れ随分急激な運動をしてみたが好調だった。さすが七十キロ以上の巨体の和田分隊士も降りた時はしばらく口も利けない様子だったが、「大丈夫です。搭乗員の気のせいでしょう。どこも悪いところは無いですよ」と言うと、「そうかッ」と嬉しそうだった。このような本当に生命がけの整備員に支えられてこそ、私たち戦闘機隊は安心してどこまでも飛べるのだ。
同じ一分隊士なので特に印象に深いものがあった。
『修羅の翼』
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