進藤の二番機、八並信孝一飛曹機が、進藤機に覆いかぶさるような妙な動きをする。バンクを振って定位置に戻るよう促しても、八並機は離れようとしない。八並は二十二歳、ガッチリとした体格の折り目正しい男で、腕も視力もよく、進藤が目をとめて列機に指名した搭乗員である。
ラバウルに帰ってすぐに、進藤は八並を呼びつけた。
「お前、どうして編隊を崩してあんな飛びかたをしたか」
すると八並は、
「敵機が上にいました」
という。進藤は驚いた。
「戦闘機か?」
「はい、P‐38でした。一機でしたが、優位の態勢から奇襲の機会を窺っているもののようでした。隊長にバンクで知らせましたが、気づいてもらえませんので、敵が撃ってきたら盾になるつもりで上についていました。ニューブリテン島が見える頃、敵機は諦めたのか引き返して行きました」
進藤は、穴があったら入りたい気持ちになった、と同時に、身を挺してでも指揮官機を守ろうとする八並の気魄と責任感に胸をうたれた。
ラバウルに帰ってすぐに、進藤は八並を呼びつけた。
「お前、どうして編隊を崩してあんな飛びかたをしたか」
すると八並は、
「敵機が上にいました」
という。進藤は驚いた。
「戦闘機か?」
「はい、P‐38でした。一機でしたが、優位の態勢から奇襲の機会を窺っているもののようでした。隊長にバンクで知らせましたが、気づいてもらえませんので、敵が撃ってきたら盾になるつもりで上についていました。ニューブリテン島が見える頃、敵機は諦めたのか引き返して行きました」
進藤は、穴があったら入りたい気持ちになった、と同時に、身を挺してでも指揮官機を守ろうとする八並の気魄と責任感に胸をうたれた。
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