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2014年8月23日土曜日

戦いには必ず「優位戦」と「劣位戦」とがある。

こちらが優位に立っているときと劣勢の場面とでは戦い方が違う。

日本海軍は階級重視で、兵学校を卒業した士官が指揮官として率いていく。指揮官機が状況をわきまえず、勇ましく右へ上昇旋回していくと、坂井(三郎)をはじめベテラン・パイロットたちは、そんなことをしたら敵が上から降ってくるから、と迷う。一部は命令とは反対に左下へ旋回して敵の腹の下へもぐりこむ。そうしていったん敵をやりすごさなければいけない場合だってあることを隊長は知らない。こんな隊長のあとをついてったら全滅する。その隊長は、実戦経験もなく、現場の意見も聞こうとしないから、学校で教わったとおりのことしかできない。学校で教えているのは、かつて零戦がF4Fよりも上昇力その他にすぐれ、機数も多く、パイロットの飛行時間も長かったときに出来上がった優位戦の戦術戦法だった。それを覚えてきた編隊長が、サッと勇ましく右へ上昇旋回しても、何機かはついていくが、おおかたのベテラン機は左下へ回り込んでしまう。もちろん、戦闘が終わって帰ってくると、「なんでお前らは俺のあとをついてこないんだ、軍法会議に掛けて処分するぞ」とものすごく怒られる。

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