戦争体験を見ていくとわかるのだが、近代日本は日本独自の軍事論をもたないままだったといってもよかった。その結果、昭和十年代の軍事指導者たち、あるいは高級軍人は、陸軍大学校でドイツから招いたメッケルというお雇い軍人教官の戦略、戦術を軸にした軍事論を丸暗記した者が成績優秀者とされて、軍令を担うことになる。そういう人物が日中戦争や太平洋戦争の指導にあたった。前述のド・ゴールのように、幅広い知識を身につけているわけではなく、戦略、戦術のみを学び、まるで戦う「機械」のような存在としてふるまったのだ。
『帝国軍人の弁明』
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