戦後七十二年の今、三百冊ほどになるのではないか。むろんここには私家版も含めてということなのだが、こうした類の書にふれてきた者として言えることは、次のような特徴に注目して分類が可能だということである。あえて箇条書きにしておきたい。
(一)昭和陸軍の軌跡と自らの軌跡を同一化した書(自省なき書)
(二)昭和陸軍の中枢にいたが、自らはその政策に疑問を持っていたとの書(二元化した書)
(三)昭和陸軍の軌跡に関わりなく自らの歩んだ道を説く書(史観なき自分史)
(四)昭和陸軍を擁護し自己正当化するだけの書(自己賛美の書)
(五)徹底した昭和陸軍の実態批判の書(自己弁護の書)
(六)客観的に昭和陸軍と自己の歩みを綴った書(史料になりうる書)
(七)次世代に語り継ぐために書かれた書(継承の書)
本書を通じて、軍事上の責任が問われるべき軍人の回想録や手記と必ずしもそうではない軍人との回想録の類を見分ける目を持ってほしいと思う。
『帝国軍人の弁明』
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