瀬島龍三の全貌をかなりつかむことができた。そこでわかった大本営参謀時代の実相をあえて語っておくと、要はその人格は四点に絞ることができた。
(一)自らの成した業務は話さない(末端参謀ゆえに些末な仕事が多かった)
(二)自らが仕えた上司や指導者に随行したことを自らの体験のように話す(開戦前、杉山元参謀総長に同行して宮中に赴いたケースなど)
(三)自らがモミ消した疑いのある史実は関係者には洩らしているが、一般には決して話さない
(四)自らの体験を誇大に話す
取材を通じてこの四点にすぐに気づいたのだが、瀬島はさらにいえば「歴史的な自らの証言」と「公と私の区別を曖昧にして必要以上に私の役割を公に置きかえる」といった二つの特徴を色濃くもっている。私は直接、瀬島に二日間にわたって八時間の長いインタビューを試みたが、この特徴を実感した。『幾山河』にもその特徴がよくあらわれていることがわかった。
『帝国軍人の弁明』
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