大本営(だいほんえい)
大日本帝国憲法の第十一条には「天皇ハ陸海軍ヲ統帥ス」とあり、日本軍の最高司令官であり絶対の命令指揮権があって政府ですらこれに介入できない。これが独特の統帥権である。
形式的には天皇の名による作戦命令の下令であるが、天皇がいちいち作戦を考えたわけではない。陸軍は参謀本部、海軍は軍令部の作戦参謀がつくった案を参謀総長や軍令部総長が承認し、宮中の侍従武官の手によって天皇の決裁をあおぐ。
ところが、いざ戦争に突入すると陸海軍が別々に動いていては、それこそいくさにならないので、戦時に限って陸の参謀本部と海の軍令部とを一本化した。この有機体が大本営であり、日清戦争直前の一八九三(明治二六)年に設けられたのが最初である。
大本営が設けられて一本化されると、陸軍参謀本部と海軍軍令部はそれぞれ大本営陸軍部と海軍部に名前が変わり、参謀たちは大本営参謀となる。そしてここから発令される命令はそれぞれ大陸命・大海令と略して呼ばれた絶対的な戦略命令であった。
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