「永野さんは、天才でもないのに自分で天才だと思っている人だから、一般には受けるだろ」
と言ったのは、この時のことである。
井上成美は、この前年(昭和十五年)、沢本頼雄の次官着任まで、短期間海軍次官代理を勤めたことがあり、大臣の及川古志郎から、
「おい、宮様が総長辞めたいと言われるんだが、どうしよう」
と相談を持ちかけられて、
「辞めてもらったらいいじゃないですか。大体宮様というのはよほどの事がないかぎり、下の者の持って来る案にノーとは言わないようなしつけを受けておられる。この非常の時にそれではなりません。辞めて頂くのが海軍のためでもあり宮様のためでもあります」
と答え、あとを先任順で永野修身にという話には、
「しかし、永野さん不可なかったら、二、三ヶ月ですぐ首にすることですよ」
と進言している。
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